漢方と聞けばまず=漢方『薬』と直結しがちですが、実は違います。
食事の素材から調理法、食べ方等いわゆる薬膳や、一日の過ごし方など、生活の工夫(養生)を含む全てが漢方『医学』です。
ですからお薬を出さない治療も当然あります。

それはそれとして、じゃあ漢方薬が効く根拠は?というと、これが難しいんです。
普通、西洋医学での薬理学は

  1. 有効成分ひとつだけに注目する
  2. それを抽出する
  3. 様々な実験を経て、個体差が少なく再現性があることをもって効果が証明されたとする
  4. その結果をもとに、今度は大規模な臨床治験を行なう
  5. 実際の効果や副作用を確認し、認可される

という経過で国内流通するようになります。
そして、その実験データや臨床治験のデータをもってエビデンス(証拠)があるというわけです。
でも、ちょっと考えていただきたいんですが、これってつまり

ボールが一個しかないピラゴラスイッチを一生懸命解析して、たった数年の治験の積み重ねで満足している

ってことなんですよ。出来てもボール2個くらいまで。
でも漢方薬には、生薬が何種類も入ってるじゃありませんか。
しかも、生薬1つに限ってすら、働く成分が1つとは限らない。
つまり、ボールがめちゃくちゃ多いピタゴラスイッチなんです。
なんなら、最後のゴールすらひとつじゃない。

ピタゴラスイッチ

このボールがこっちの穴に入ると、
ここが動いてあのボールが進むことができて、
そうするとそっちとあっちのボールが動く通路が開いて…

のような、複雑薬理になっているものですから、もう西洋の科学ではまったく追いきれないんですね。
しかも、同じ薬を使っても効果は個体差がある。
だって、本来はオーダーメイドですから。

じゃあ、漢方薬の効果は証明できないのでしょうか?
続きは次回。